17歳
高校2年生になった正嗣。クラス替えで割り当てられた席は、一番窓際の一番後ろ。
つまり端っこ。しかし、隣の席には誰も座っていない。不自然にあいた席。正嗣はそれを気にせず、ただハードブックの小説を読んでいた。
正嗣はあまり周囲とかかわろうとしなかった。
自分の生まれ持った特性・・・人には見えないものが見え、関わることの出来る体質。誰にも知られたくない、そう感じた正嗣は、自ら本の中の世界だけを楽しむことにしていた。
そこに担任と一人の女の子が入ってくる。
「今日からこの学校に転校してきた東條君だ。」
正嗣は、チラッと教卓の方向を見ると、そこには長い黒髪をひとつに束ねたセーラー服の女の子が立っていた。
「東條美佐子です。よろしくお願いします。」
正嗣は、何も気にせず続きを読み始めた。美佐子が横に座ろうがお構いなし。挨拶しようがお構いなし。
その姿を、美佐子に見つめられているのも気にせずに・・・