きれいに化粧をされ、きれいな服を着させられた美佐子が、暗い霊安室のベットの上で眠っている。正嗣は、美佐子の顔のすぐ横にいすを置き、ただ顔を眺めていた。放心状態といっていいほど憔悴しきっていた顔。涙も枯れ果て、言葉も出ない・・・。



「お父さんのせいだよ・・・。」



椿がそういっても、正嗣から帰ってくる言葉はない。



「全部あんたのせいだ!全部・・・」



椿は、正嗣に掴みかかった。しかし、その場で泣き崩れる。

その空間には、冷たい空気と泣き叫ぶ声だけが響いていた・・・



自宅に戻った正嗣達の前で、美佐子の葬儀の段取りや打ち合わせが待っていた。

正嗣は、毅然とした態度で打ち合わせをする。しかし、心の中では、まだこの現実が受け入れられなかった。