「ゴメ~ン。もうすぐキャンプファイヤーの始まるよ。一緒にアッチに行こう」



タクトくんはあたしの肩に両手を添えると、軽く押してくる。



「ううん、ちょっと用事があるの……」



「……そーなんだ? そうそう……藤が、『葉月、またかよ!』ってさっきイラついてたけど。

なんか、心当たりある?」



タクトくんが、ニッコリと微笑む。









「藤くん……が? あーっ!!」



あたし、また忘れてた。



バーベキューのときにジュースおごるって言いながら、すっかり忘れて友達とずっとしゃべってたっけ……。