顔をあげて半ば睨む勢いで目の前の同僚を見た。
どう、文句ある?
どうやら私も意外と酒が回ってきているらしい。
情緒不安定になっているのがわかった。
「…………ねぇ凛、スケジュールの調整って。
……やったの、今日、だよね?」
意外なことに、同僚は何故かひきつり笑いを浮かべていた。
質問の意味がわからないながらも事実なので頷くと、何故か空笑いされた。
「……ははは…………さすが、出来る女はちがうわねー」
スケジュール調整のときは、頭が混乱した状態でやっていたから、正直よく覚えていない。
「普通二週間の休暇の調整を半日で終わらせるなんて無理よ」
…………さいですか。
同僚――綾部美咲(あやべみさき)は、別に会社の社長とつきあっている。
なにやら大恋愛だが、あまり詳しくは知らない。あまり興味もないし。
そういったら、なぜか爆笑されて、あげく言われたのが、
「あんたのそういうさっぱりしたところ、結構好き」
あまりほめられている気はしなかったが、じつは結構嬉しかった事は秘密にしてある。