「あー!春瀬さんでしょ!?サッカー最優秀選手の!」

「いやそんな立場じゃ…。」

「見ましたよ!決勝戦!PKまで持ち込んで最後に決めたところ!凄かった!」

「あ、ありがとう。」

「そんなことよりバスケ部入ったってホント??なんでバスケ?」

「いや…それは…。」

中学校に入ってからよく言われる。
“なんでバスケ部に?”

私は6年間ずっと言えなかった。

バスケのほうが好きだと。
バスケのほうが楽しいと。

たまたま出た試合で上手くやれてからチームに入りプレーをしていた。

大会に出るようになってから、“サッカー少女”と呼ばれるようになった。

とても辛かった。

だから私は卒業するまで3年間、体育の授業のあとシュート練をかかさずやった。

みんなに秘密で。