ステージ上にあがった君に、司会者が声をかける。
「意気込みをどうぞ」
「…えーっと、私には好きな人がいます」
君がそう言った途端、クラス内の驚きと全校生徒の好奇心によるざわめきが体育館を包んだ。
「…同じクラスで、私人見知りなんで、ちょっと話すくらいなんですけど、気づいたら気になってて。もしも願いがかなうのであれば、彼の隣で歩いていきたいです」
ヒューやら何やら冷やかしの声に混じって、「誰ー?」と問いかける声。
「…誰かは言いません。気持ちも伝える気はないんです。私の恋は叶うことのない恋だから。だから、今ここで彼への思いに終止符を打ちたいと思います」
君は司会者に視線をやった。