だけどその時だった。
下半身が急に解放されたのは。
ただ、男の人が叫ぶ声だけが聞こえた。
鈍い音がした。
最初はなんだから分からなかった。
だけど、静かになった後、気づいた。
「さやか」
優しい彼の顔が、私の目の前にあった。
「…───っ」
鼻をズーズーすすってる私に、なんだかお父さんみたいに服を着せてくれた。
「どうするの?」
「うん」
足元に横たわった男の人を見つめながら、ただ茫然と聞いた。
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