「………いらない」
私がそういうと、だいたい母さんは苦笑いをして去るのが決まりだった。
でも
おばあちゃんは、違った
「食べな体、悪ぅなるよ。
な、レンちゃん食べよーや。
じいちゃんもおるよ。
ばあちゃん腹ぺこぺこ」
私の小さな背中は震える。
ハイッテクルナ
だけど
「さっ、食べよっ」
おばあちゃんは私の体を持ち上げ、私よりも小さな背なのに
私よりも大きかった。
「やめ…て!!」
私は恐ろしくて
近づいてほしいのに
あからさまにこう来ると拒否してしまう。
「……………」
おばあちゃんは一瞬、私を見つめ
「大丈夫やから」
そういって 抱きしめた。
母さんの『大丈夫』よりも
ほんの少し『大丈夫』に近づいた感じ
あったかい気がした。
母さんにはなかった温もりと、加齢臭と土の匂いがした。