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「まっ…にあったぁ」


ぜえはあと息を切らし、膝に手をついてうな垂れる。

教室は見慣れた顔が仲良しの子とおしゃべりしたり、男子がふざけあったりしていてホッとする。


時間は8時43分。
あと2分で遅刻……
本当にギリギリだった。

そこに、呆れたような声が頭上から聞こえる。


「小夜…また遅刻ギリギリ?
学校から家が近いからって、もうちょっと時間に余裕を持って…」

「ごめんごめんっ
次からは、気をつけます」


長くなりそうだったので無理やり割り込んで話を終わらせた。


まったく、と腕組みをしながらため息をつく彼女。
美人な彼女は、そんな姿も様になっているけれど。

彼女は、クラスメートであたしの友人の凪ちゃん。
綺麗で、頭がよくて、大人なあたしの幼馴染。