「おいおい、諒太!今の子誰だよ?
めっちゃ可愛いじゃん~!」

友人が走ってこちらにきた。
どうやら一部始終をたまたま見ていたみたいだ。


「…あ、どっかで見たことあると思ったら同じクラスのやつだ」


ぽつり、思い出したように男が呟く。
でも、あんなやついたっけ、とも同時に思ったが口には出さずにいた。


「まじ!?あんな可愛い子いたっけ?
紹介しろよ!」

「……やだ
あいつは俺がもらうから」


クスリ、という意地悪な笑みが空に消える。
男の友人はまたお前かよ、と文句を言い、それ以上はなにも問わなかった。



…この意味がどんな意味か知るのは、もう少し後で。


「永原、小夜…か」


ーー波乱の予感…