「不愉快だから。」
転校してきて早々そんな事をいってしまった。

藍沢みゆ
それがあたしの名前。
ずっと前から親は仲が悪く1月前離婚した。
母親に引きとられたあたしは、私立から公立に転校した。
前の高校は金持ちばっかがいくようなとこだった。
だから、友達は離婚って聞くと軽蔑したような目で離れていった。
「藍沢です。よろしく」
新しい学校でそう自己紹介した。
「なんで、あんな金持ち学校からこんな公立に?」
みんな、そんなことばっかいってた。
めんどくさい
それがあたしの気持ちだった。


「どうも。俺、山元太輔。よろしくなっ」
そういって、あたしの机の前にきた一人の男子。
はにかんだ笑顔で黒髪。
それしか印象がなかった。
「うん」
それだけいうと、
「もとー!お前だけ抜け駆けなんてずるいぞー!」
そう言いながら茶髪でピアスをあけた、あきらかチャラいやつがきた。
「水戸陵でーす!みゆちゃんかわいいねぇ
ていうか、もと!お前は子どもなんだから大人しくしてろよなあ笑」
「なにぃ!?陵だって子供だろおー!」
そういって二人の対決?じゃれあい?が始まった。
周りの女子は
「陵くーんっ!」
とか、なんとかいって騒いでた。
見てて、もととかいつ人はいじられなんだなってわかった。
そんなくだらないことを目の前でしていた。
"くだらない"
そう思い、騒いでるなか、一人トイレにいこうとした。
すると、
「あれぇー?みゆちゃん!無視しないでよっ!!」
陵って奴が絡んできた。
あたしは、もともとあんたたちと仲良くする気がない。
だから、つい、
「あんたらと仲良くする気なんてない。不愉快だから。」
そんなことをいってしまった。
周りの女子は騒ぎはじめ、陵っていうやつも何が起こったのっていう感じだ。
そんな空気に耐えられず、あたしはその場を去った。
やっちゃった…
そんなことを考えてると
「藍沢っ」
後ろから声がした。
呼ばれて振り返ると山元くんが追いかけてきていた。
「なに?」
「なんかごめん」
「え?」
「いや、もともと俺らが話しかけたから。けどさ、さっきの言葉は・・・」
「別に思ってたこと言っただけ」
「いや、つーか、なんで仲良くしないの?」
「だって、」
続きを言おとしたら山元くんが先にこういった。
「みんないい奴だよ?おもろいし。」
「そんなのっ…」
山元くんが軽蔑したようにあたしを見た。
なによ、さっきまであんなにヘラヘラ笑ってたのに。
そんな目…
まただ。
あの時と一緒だ。
前の友達と一緒だ。
あんな思いしたくなくて、友達なんて作ろうとしなかったのに。
もう、二度と軽蔑なんてされたくなかったのに。
泣きそうになりあたしは山元くんのそばを立ち去った。