13歳になったばかりの夏。

わたしはとある街に引っ越してきた。




幼少期からずっと過ごした街や友達と離れ
寂しい気持ちと不安を抱えたまま
中学生になって初めての夏休みが終わり
新学期、新しい学校で新しい生活がスタートした。



新しい制服は可愛かったし
お母さんにご機嫌取りで可愛い筆記用具を
買ってもらっていたこともあり、
わたしはすっかり機嫌が直っていた。




学校は、校門を入るとすぐに
桜の並木道があって、
夏になり、綺麗な緑色の葉が
キラキラと輝いていた。






玄関に入ると
途端に緊張してきて
何回も心の中で
挨拶の練習をした。




(ーー町から越して来ました。葉月 麻央です。
     よろしくお願いします。)




何度も何度も練習した。