あたしの16才の誕生日に砂姫おばあさまは、あたしに仰った。

「雅、どんな事があっても、あなたの心に住んでいる人を大切にしなさい。
あなたの心が望む人があなたに本当に必要な人だと言う事を決して忘れないでね。
それを忘れなければ、あなたの心は迷子になることは無いわ」

あたしの心が望む人は勇気だけ

あたしに必要だと思うのも勇気だけ

あたしは…勇気がいなかったら…どうなるんだろう。

勇気が帰ってくるまでの10年間、ただただ、いつか勇気が帰ってきてくれることを信じて待っていた。

勇気が帰ってきてからは…いつだって私の姿を視界に留めていてくれる勇気の視線に安心感を覚えていて、それが当たり前になりつつある。

勇気を失ったら…あたしはあたしでいられなくなるのではないかと思う。