雅が立ち上がって俺から少し距離をとるのがわかった。

クローゼットを開けたり何かをがさがさしている音がする。
何をしているんだろう。

どの位目を瞑っていたんだろう。

不意に部屋の照明が落とされたのが閉じた瞼越しにわかった。

「雅?何をしてるんだ?もう目をあけてもいいか?」

「もう少し待って…勇気手を出してくれる?」

両手を前へ差し出すと雅が俺の傍に戻ってきて俺の手に何かをのせ、そのまま俺の首に腕を回し抱きついてきた。

視界の無い状態での思いもかけない雅の行動に不覚にも鼓動が早くなる。

「お誕生日おめでとう勇気」

雅の声が思った以上に近い所で聞こえたと思ったら、次の瞬間柔らかいものが俺の唇を塞いでいた。

信じられない言葉と共に…。