そこまで考えてハッとする。

手にもっていたはずの紙袋が無くなっていた。

一瞬ヤバイと思い慌てて辺りを見回すと、運の悪いことに、雅の足元に紙袋が転がっていた。

雅が屈みこみ、紙袋を取り上げる。


俺の脳裏を、雅の平手が駆け抜ける幻影が飛びかう。

ドアにぶつかった位の痛みじゃないだろうと想像して、背筋がぞっとする。

つい最近知ったのだが、雅は強い。合気道3段に剣道も初段、おまけに空手もかじっているとか何とか…。

俺だって、そこそこ武道はかじっているが、本気になったら雅には敵わないかもしれない。

「みっ…雅、見るなよ。おまえには関係の無いもんだ。」

本当は関係あるけど…

そう言いたい気持ちを抑えとりあえず動揺を悟られないように、奪還を試みる。

…が、

「……何これ?」