次の休憩時間──科学教師に尋ねる。
「匠くんかい?」
老齢な瞳が志保を見つめ、遠くに視線を移した。
「彼は優秀だよ、うん」
なんだか濁したような物言いに、保険医は眉を寄せる。
「授業態度などはいかがです?」
「とてもいいですよ、それはもう。ええ」
1人納得するようにうんうんと頷くが、志保にはさっぱりだ。
「あれだよ、彼はとても良い生徒で優秀なんだよ」
「はあ……」
そんな彼の事をどうして根掘り葉掘り尋ねるんだね? とでもいう無言の圧力に、志保は呆けた声を上げた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…