次の休憩時間──科学教師に尋ねる。

「匠くんかい?」

 老齢な瞳が志保を見つめ、遠くに視線を移した。

「彼は優秀だよ、うん」

 なんだか濁したような物言いに、保険医は眉を寄せる。

「授業態度などはいかがです?」

「とてもいいですよ、それはもう。ええ」

 1人納得するようにうんうんと頷くが、志保にはさっぱりだ。

「あれだよ、彼はとても良い生徒で優秀なんだよ」

「はあ……」

 そんな彼の事をどうして根掘り葉掘り尋ねるんだね? とでもいう無言の圧力に、志保は呆けた声を上げた。