家に帰って暫くして、遠くでサイレンが聞こえた。

いやに近い感じだ。

この音は救急車だろうか？。

この辺りは人の住んでいる人数としては本当に数十人程度の場所なので、ほとんどの人が知り合いだ。

だからこそ、気になった。

トランクス一丁の足にズボンを通すと、自転車に乗る。

｢ちょっと勝矢、もうご飯よ！｣

｢分かってる！、すぐに帰るから！｣

音の元に向かって、思いっきりペダルをこいで行く。

普段だったらこんな音がしたくらいで敏感になったりしない。

それなのに何故、今日はこんなに胸騒ぎがするのだろう？。

何故、向日葵の顔が浮かぶんだろう？。

まさかな。

この近辺にも高齢者がいるし、きっとそういう人が体調を崩して救急車を呼んだに違いない。

そうは思っているのに、足は止まる事はない。

なんなんだよ。

俺、変だろ。

そんな馬鹿な事あるはずがない。

暫くしてその音があったと思われる場所に着くと、そこにはガードレールに突っ込んだ形で止まっているダンプカーがいた。

思いきり凹んだフロント部分が事故の壮絶さを感じさせる。