「…なんか幻聴?俺?」
「はいっ♪」と一年女子はご満点な笑顔で応えた。
……ナゾ。
「あのぅ。俺、君とどこかでなんか接点あったかな?」
「いえ。全く。強いて言うなら、先輩が特別教室前の廊下掃除だった時、私は理科室掃除してました。」
…それ、接点言うほどか?
俺の疑問を代弁するように、脇から拓真が口を挟む。
「へぇ~。それで天音に惚れるったぁ、美的感覚個性的なやっちゃな。周囲から目が悪ぃとか趣味が悪ぃとか言われる口だろ?」
「おい。拓真クン、俺に喧嘩売ってンのかね?言っとくけどこんな俺にも一目惚れするよーなヤツが世の中にはいたんですけどねっ。」
ぴくっと固まった万里が「ぅわぁぁ」と叫んで頭を抱えた。
はっ…シマッタ。
「天音…無駄な負けず嫌いはこの際廃棄しとけ。」
「…悪ぃ。つい。」
「万里っ、誰もオマエのコトだなんて言ってナイぞ?ホラ、立ち直~れ~。」
でもまぁ、俺だって拓真の言い分が分からないワケじゃない。
つーか、俺も思ったし……。
別にブサイクとは思ってナイが、万里じゃあるまいし一目惚れされるほど優れた容姿じゃないでしょーよ。
強いて言うなら『チャラいくせに生意気そうな面しやがって』、と勘違いなヤンキーに一目で絡まれたりすることはあるケド。