「懐かしい味がする」

「人はそうやって、大切な事を思い出すものだよ」

「うん、そうですよね」

「今日は調子良いのかな?」


ボクは首を横に振った。


「そうか、此処に居る時ぐらいは、リラックスしなさい。話したくなったら話したら良いし、無理に笑う事だってないんだ。自分の好きな様にね。焦る必要はない、一生続く訳じゃあないんだから」


そう言って、マスターはコーヒーカップを綺麗に拭き始めた。