隣にはオアシスがあり、その向こうは熱帯地域だ。


今日は一段と暑い。


ふと横を見ると、彼女は泣いていた。

鞄に入っているハンカチを取り出し、肩をトントンと軽くたたいた。


「ありがとう」


彼女の口がそう動いたのが、暗くてもわかった。

またスクリーンを観る彼女の横顔のシルエットは、とても綺麗だった。


ポロリと落ちた涙も、愛おしいものに見えた。



蘇る想いに身を任せるその先は…