「豆はいつもので良いかい?」 「うん」 喫茶オリオン座のマスター ボクの父親的存在だ。 昔はジャズ喫茶でバンドをしていたらしい。デビューをした事もあったらしいが、長くは続かなかったとか…。 店内に甘い香りが漂う。 豆を挽く音を聞きながら、ボクはぼんやりとその光景を眺めていた。