「率直に言います。麗紀さん、あなたの脳には腫瘍があります。病名は、“頭蓋内圧亢進”です。」
淡々と、先生は言う。
一回だけ言われても、病名がわからない。
「手術は……。治るんですか!?」
食いつくようにお母さんが言った。
こんなお母さんを見るのは、初めてだ。
「……腫瘍は、まだ小さいですが……。腫瘍の位置が厄介で、手術でその腫瘍を取り出すことになると、血管を傷つけてしまうリスクが伴います。
もし、成功したとしても後遺症が残る可能性が高いです。」
「そんな……………」
口に手を当てて泣くお母さん。
目をつぶって、俯くお父さん。
あたしはただ、自分の脳が写るレントゲン写真をボーッと見ていた。
右脳に、小さな塊を見つけた。
ていうか、どっちにしろあたしは助からないんじゃないの?
手術をしたって、あたしには、今までの生活は戻らない。