「楽器、なにやってんの?」





うーん。きっと言っても分からないんだろうな。





「バリトンサックスっていう楽器なんだけど……」




「あ!それ、俺の姉貴がやってたやつかも」




「え!うそ!」




「ホントホント。こんなやつだろ?」





そう言って緒川くんは、ジェスチャーをした。




ぐにゃんと、大きく下に腕を動かす姿は、確かにそれはバリトンサックスだった。




「それそれ!すごい!緒川くんが分かるなんて思わなかった!」





あたしは嬉しくて、思わず笑ってしまう。




「なっ!失礼なヤツだなー。まぁ、俺もびっくりしたけどな」