「栗田」





優しい、落ち着く低い声で呼ばれた。





あたしはゆっくり、振り返る。





「……なに、緒川くん」




「左足、どうした」





そう言いながら、彼はあたしとの距離を縮めた。





「え、どうしたって……。」




「なんか左足、気にしてるし。ひねったのか?」




緒川くんはしゃがんで、あたしの左足首に触れる。




「ちょ……!だ、大丈夫だから!」




「あーほら。腫れてんじゃん。保健室行くぞ」




「だから、大丈夫だって!」




緒川くん、人気者だし、目立つから皆に見られてる……。





あたしはなんだか恥ずかしくて、緒川くんから離れた。