二人揃って上履きのまま外に出ると、下校途中の生徒たちが驚いた顔であたしたちを見てきた。


そのあとは、コソコソと友達同士で話す声が聞こえてくる。


どうしたんだろうね、とか。
きったなーい、とか。


あたし達がいじめられていることは、あたし達のクラスとせいぜい広まっていても隣のクラスぐらいだ。


でも、こうしてたくさんの人の前でこんな姿でいると、あたし達が少なからず普通の生徒ではないことは一目瞭然。
誰も好き好んで上履きで帰るなんてありえないから、何も知らない人達でもいじめられていると思うに違いない。


美空はきっと、恥ずかしくて仕方がなかっただろう。


でも、あたしは不思議と気にならなかった。


「美空。今日のテストの答え合わせしながら帰ろーよ」


「えっ……う、うん」


キョロキョロと周りの目を気にしながら、あたしに作り笑いを向ける。


もう、しょうがないなぁ。


「美空!ほら、行くよ!」


「えっ……蒼唯ちゃん?」


美空の手を引いて、あたしは周囲の視線から逃れるように走り出す。


上履きのまま走って走って、あたしはある場所に美空を連れていった。