数十人対一人じゃ、明らかに分が悪い。


というか、わざわざ皆が取り巻きたちの味方になる意味がわからない。


まるで、今まで清水さんに言えなかった文句や愚痴を、この機会に乗じてぶちまけているような、あたしはそんな感じにしか見えない。


「何なのよ、皆して……」


さすがの清水さんも、目に涙を浮かべる始末。


もう……我慢できない……!


そう思った時、カラカラと控えめな音をたてながら教室のドアが開き、美空が登校してきた。


みんなは怒鳴り合っているから気付かなかったけど、あたしはすぐに美空のほうに視線を移した。


美空……。


何事かとオロオロしている美空。
でも、あたしが何をしようとしているのかがわかったのか、あたしの目を見て微笑むと、大きく頷いてくれた。


ごめんね、美空。
あたしは美空を苦しめてきた人を……。



「……っ、いい加減にしなさいよ!!」



あたしは、そう叫んだ。


“蒼唯の思う通りに……”


“蒼唯は、そういう人だから”


頭の中によみがえった碧の言葉に背中を押されながら。



「黙って聞いてれば、皆あたしや美空の気持ちを無視して言いたい放題、好き勝手なこと言って……!! あたし達からすれば、いじめてきた清水さんも、言われた通りに仕方なく従ってたあなた達も、見て見ぬふりをしてたクラスの皆も、まったく同じよ!! 自分の事を棚に上げてるのは清水さんだけじゃなくて、皆一緒なのよ!!」



ごめんね、美空。


あたしは、清水さんを、助けるから。