「……あー、ダメだなあたし」


美空の後ろ姿を見送ることしかできなかったあたしは、ため息をついてうなだれる。


体育座りをして、両膝に顔を埋めるようにして、先程のことを悔やむ。


確かに、きついことを言ってしまった自分が悪い。


でも……。


「強くなんかない、か……」


あたしだって、怖い。
誰だっていじめられるのなんて嫌だ。


それでも頑張れるって思うのは、同じ境遇だったからこそ仲良くなれた美空がいるからで。


だから、あんなふうに悩む美空を見ていると、あたしなんていてもいなくても一緒だと思われてるのかな、なんて考えちゃったりもして。


「あたしは美空の友達にまだなれてないのかな……」


気が滅入ると、どんどんネガティブな思考へ繋がってしまう。


自分の口から出た不安に、思わず涙が出そうになった、その時だった。



「大丈夫だよ、蒼唯」



ふわりと頭に優しい感触と温もりを感じて、あたしは顔を上げる。


そこには……少しつらそうに顔を歪ませながらも微笑んでいる碧の姿があった。


「み、どりっ……」


気づかないうちに心の奥底で会いたいと思っていたのか、碧の顔を見た途端涙が堰を切ったように溢れ出た。