どのくらいの時間が経ったのだろう


静まり返った部屋に響くのは私の泣き声だけだった



「…俺達もう本当に駄目なの?

俺は……」


小さく呟く賢治に私は謝り続ける事しか出来ないでいた


すると賢治はソファーを立ち上がり書斎へと入って行き何かを持って戻ってきた


「コレ…」


賢治が差し出してきたのは、このマンションへ引っ越してきたときに二人で区役所に提出した婚姻届だった


「えっ…」


ただ驚く私に


「届に不備があって受理されなかったんだ…

こんな俺を神様も許してくれなかったのかもな」


冗談ぽく悲しそうな笑顔で賢治が言う


賢治は深呼吸し真剣な目で私を見つめた



「華…俺から開放してあげる

だから、もう泣かないで」



涙で目の前の綺麗な賢治の顔が歪む



賢治が強く握った小さな箱に気付く筈もなく…