真っ暗な家に帰り携帯を開くと賢治からの着信とメールが10件以上も入っていた


ヒールを脱ぎ電気も付けずそのままバルコニーへ出た



見上げた空には涙で滲んだ月が輝いていた



キレイ…



振り返り静まり返った真っ暗なリビングを見つめた


「広いな…」



出張中の賢治から毎日、連絡が来るたびに胸が締め付けられそうになるが電話を取る勇気さえも無かった


話したい気持ちと話したくない気持ちの中で賢治だけではなく自分の気持ちからも逃げていた




それでも日々に追われ仕事に追われ、あっという間に一週間が過ぎた