「華!!」


あっという間に後ろから追いかけてきた賢治に手首を掴まれてしまう




「っっっ…離して!!」


叫び賢治の手から逃れようとするが男の人の力に敵うはずもない




「華、お願い聞いて…」



子供をあやす様に困ったように賢治は私を宥める



私は首を横に振るだけで嗚咽しか出ない




「華…俺は確かに最初はお前の事、利用して―――」



「…本当は心の何処かで分かってました

あの女性の事も政略結婚の事も…」


かろうじて私の口から出た言葉…



「華、お願いだからちゃんと聞いて…」

目の前の賢治は苦痛に顔を歪める


「もう疲れました…」


そう…

もう疲れていた

人を好きになり思い疑い責める自分に…



私の一言に賢治の手は次第に私から離れていく


それが悲しくて戻れない気がして

掴まれた手首を振りほどき私はその場を去った