「華、飲み行かない?」


「あっゴメン、今日中に上げたい案件あって…」


「そうか…じゃ、お疲れ」


亜紀の誘いを断り腕時計を見ると時刻は18:55を指していた


「ふぅー」


私は小さく深呼吸し席を立った



今朝もいつもと変わらない賢治を見送った


大丈夫…


信じてる…



その言葉だけを頭で繰り返し32Fフロアーへ上がった



フロアーは既に真っ暗で一番奥にあるA会議室だけ不気味に灯りが付いていた




私は震える手を握り締め引き寄せられるように会議室へと近づいた



会議室の扉に手をかけようとした瞬間、中から男女の声が聞こえた