「華さんが我が社で働いているとは世間は狭いですな」


「はぁ…」


大手商社の会長を目の前に驚きを隠せない私は気の利いた回答が出来ない




庭園が見渡せる料亭に場所を変え4人食事をしているが社長は親同士の会話に口を挟む事なく淡々と目の前の料理を口に運んでいる



綺麗に食べるな、この人…


私は箸を手にすることなく、チラッと目の前で食事する社長を盗み見する


てか、この組み合わせは何?


何で父は、この人達と知り合いな訳??



目の前の光景に私の思考回路は追いつかない




やっぱり社長も無理矢理、連れて来られたんだろうな…



後で、ちゃんと話してお断りしないとな…


なんて考えている中、美味しそうな料理が次々に運ばれてくる




仕事が忙しく昨日の夜から何も食べていなかった私は目の前に座る社長より美味しそうな懐石料理に目を奪われてしまった



せっかくだし取り合えず今は目の前にある料理食べなきゃね



小さな鉢に盛られた目の前にある料理を箸で取り口に入れた



んっ?


何コレ!メッチャ美味しい



私は、いつの間にか見合いという会食をそっちのけで料理を完食していた