「遅れてスミマセン…」


私も席に着きコーヒーを頼んだ


「時間も無いので単刀直入にお伺いします

どうゆう、おつもりですか?」


「えっ?」


沙耶が何を言っているのか分からなかった


「金曜の夜、30億案件の大事な商談があったんです

昨日まで先方も日本にいらしたのに社長はお会いにならずリスケし今とても大変な状況なんです」



「えっ…?」


うそ…



「今夜、社長とアメリカに飛んで先方に会ってきます

ご自身の事をお考えになる前にもう少し社長の事を考えて頂けないでしょうか」


私のせいだ…

私が風邪を引いたせいで…


「…」


自分の手が小さく震えていた


そんな私を見兼ね沙耶は、ため息をつきテーブルの上の伝票を取り立ち上がろうとした



「一つ教えてください!

何故あなたは私との結婚のこと知っているんですか?」



沙耶を見上げ私は思わず叫んでしまった



少し驚き沙耶は次の瞬間フッと笑った



「政略結婚とは言え社長の奥様なのですからご自身でお確かめになっては如何ですか」



会計を済まし沙耶は誰かに電話をしながら店を出た