この結婚に愛はない




「分かりました…

結婚するにあたりお願いがあります…」



「何?」


社長は表情一つ変えずコーヒーを口にした


「…結婚の事は会社に伏せ昼の仕事続けさせて頂けないでしょうか」



「…」



何も言わない社長に私も俯き気味になっていく



社長はため息をつき持っていたマグをテーブルに置いた



「…いいよ」



絶対ダメって言うと思ってた社長の意外な一言に私は勢い良く顔をあげる



「でも、その代わり夜の仕事は早急に辞める事

お互いプライベートは干渉しない事」



「プライベートって…」


私は小さく呟いた


社長にとって結婚とはプライベートな事では無いのだろうか



「分かりました…」


複雑な気持ちのまま私は小さく返事をした



「あと家で社長って呼ばない事」



「あっ…はい、えーと…」



「賢治」



「賢治さ…ん?」




初めて呼ぶ社長の名前に恥ずかしく少し俯いた



「ヨロシクな、華」