一歩前を歩く賢治の後姿が2年前と何も変わらず懐かしく思えた


時折、吹く冷たい風に冬の匂いが気持ちいい



「寒くない?」


賢治が振り返り足を止める



「はい、大丈夫です

何か懐かしいですね賢治さんと、こうやって歩くの」



「ああ…」


賢治も少し俯き笑った



「でも賢治さんもお元気そうで良かったです」



「…華は?」



えっ…



「私?私は…元気ですよ」


精一杯の笑顔で答えた



賢治と視線が絡む



大好きだった賢治の目

何もかも見透かされているような真っ直ぐな目



私はちゃんと笑えてる…



「じゃ…そんな泣きそうな顔で笑うなよ」



賢治の暖かい右手が私の頭を包むように撫でる