目の前に座っている賢治に私は、ただ驚きその場に立ち尽くしていた



「座れば?」


賢治はクスッと笑った



我に返り私は慌てて賢治の前に座った



これは夢だろうか?


「久し振りだな?」


「…はい」



2年振りの賢治は少し痩せて以前より大人っぽく見えた



聞きたい事はたくさんあるはずなのに何を話せばいいのか言葉が出ない



俯きふとテーブルに目をやるとタバコの吸殻の溜まった灰皿が目に入った


「あっ…」


賢治に声を掛けようとした瞬間

部屋の扉が開き着物を着た女性の手により料理が運ばれてくる



「華、食べよう」



「あっ…はい…」


この優しい声に名前を呼ばれるのは何年振りだろう


目の前の料理は綺麗に盛られ、とても美味しいはずなのに今の私には味など分からなかった




ただ懐かしい味がした…




終始お互い無言のまま、あっと言う間に食事は終わった