廊下を歩いているとカバンの中の携帯が震えた


着信を見るとディスプレイには成瀬の名前が表示されている



クリスマスにお見合いをするような相手と結婚させられるぐらいなら…




私は立ち止まり携帯の通話ボタンを押した



「成瀬さん、今どこ」


「よぉ華、早いな電話出るの

てか前のめり過ぎだな」



「緊急事態なの、今どこ?」



「仕事と冬休みを兼ねてオーストラリアに来てるけど」



「何で私もオーストラリア連れて行ってくれなかったの」



私の八つ当たりとも言える発言に電話の向こうの成瀬は笑っている



「大丈夫だよ、華にクリスマスプレゼント用意しておいたから」



「プレゼントって?」



「それはお楽しみって事で、じゃあ俺今からゴルフだから」


成瀬は笑いながら電話を切った



私は無機質な通話終了の機械音を耳に大きくため息をつく



てか、何しに電話を掛けてきたんだろう…



私は重い足取りのまま再び長い廊下を歩いた



指定された個室の前に立ち深く深呼吸し扉を開けた