記念日に大観覧車に乗ることはできなかった。 だけど、 「…好きだよ、美玲。」 その言葉や笑顔一つで、満たされる。 「…今、あたしの名前、」 クスッと笑った白崎はそっとあたしの後頭部を捉えた。 ガサッと傘がアスファルトの地面に叩きつけられ、二人は雨に濡れる。 白崎はあたしに触れるだけの優しいキスをした。