だから思い切り腕を振り払って、走って逃げた。


だって怖いじゃん。


悪い人って感じはしなかったけど、初めて会った人にそんなこと言われて、しかもパパもママもいない海外で。


でもその日から、ライアンは私を校門で待つようになった。


私が友達と一緒にいても話しかけてくるし、時には花束を持っているときもあったっけ。


「ねえ、美亜。今日も待ってるよ」


「えーまた?」


「いいじゃん。もう付き合ってあげなよ」


ライアンの姿を見るたびに友達にからかわれるし、もう最悪って思ってた。


出会いは意味不明だし、一目惚れなんてバカじゃないって思ってたけど、ほぼ毎日顔を合わせて「好きだ」なんて言われてたから、それでもいつの間にか気になる存在にはなりつつあったのね。


そんなある日、ライアンに大事件が起こった。


アメリカンフットボールの試合最中に相手選手と接触、その場で意識を失って病院に運ばれたの。


病院ですぐに意識は取り戻したけど、右足は複雑骨折。


長期入院とリハビリをしなくちゃいけなくなった。


このとき私は、ライアンが入院して私のことを待たなくなって清々したって思ったのと同時に、なんだかすごい寂しさに襲われいたの。