私はそのとき、パパの仕事を継ぐことだけを考えていたから、恋なんてする必要ないって思っていて、ライアンにも興味がなかった。


だから友達が選手の乗るバスを見に行こうって言ったときも興味はなかったけど、まあそんなに見に行きたいなら付き合おうって気持ちで友達について行ったの。


そしたらタイミングよく、選手がバスに乗り込むところに遭遇した。


「ほら、美亜。やっぱりライアンってカッコイイよね」


「ライアーン！」


友達や周りにいた人たちがライアンに向かって手を振ると、その声に気づいたのかライアンがチラッと私たちの方を向いた。


その瞬間、結構多くの人がいたのに、なぜか私とライアンの目が合ったんだよね。


ただそのときは、ライアンは誰に対してもニコリともせず足早にバスに乗り込んでいったから、愛想のない人だな～って思いながら、そのとき住んでいた高校の寮に帰った。


そして次の日、授業終わりに一人で校門を出ようとしたときに、急に誰かに腕を掴まれたの。


ビックリして手を掴んだ人を見ると、ライアンだった。


「離してください！」


急に腕を掴むなんて失礼な人だって思いながら腕を振るも、ライアンは離してくれなかった。


それどころか、初めて会った人に言うような言葉じゃないことを言ってきたの。


「昨日、君に一目惚れした。だから付き合ってくれ」って。


一目惚れなんて信じていなかった私だったから、この人大丈夫？って思っちゃった。