その後、俺はことごとく質問され・・・最終的にあのピンクのコートが良いという意見にまとまった。


それまでに見た洋服の数って・・・何着なんだろうか。


「やっぱりこれが可愛いよね?」


「だな。それでいい。」



「それで、いい?」


「いや、それがいい。」



軽く脅迫っぽい口調の未那に、逆らうことはできそうにない。


「じゃぁ、私買ってくるね。」


「あ、いいよ。俺が買うから。」



「え?」


「買ってやるって。ほら。」


未那の手からコートを取ると、未那は「自分で買うよ?」と不安そうに聞いてくる。



「なんでそんな顔で聞く?」


「だって、雅はまだ学生でしょ?」



「未那だって、まだ学生。」


「でも、私の方が」

「いいんだよ、俺が買ってやりたいから。」



レジにコートを持っていき、代金を払う。


そして、その買ったコートの入った袋を未那に渡す。



「・・・ありがとう。」



「どういたしまして。」



俺たちは店を出て、駅に向かった。


なんだかんだで、一時からのデートだと時間はあっという間だ。


きっと、一時じゃなくても、未那といると時間なんてあっという間なんだろうけどな。