「この辺にあんの?」
「うん。行ってもいい?」
特に反対する理由もない俺は、未那の案内でその店に向かった。
そこは、本当に近くにあって、ものの数分で着いた。
中に入ると、そこはカップルで溢れていた。
「すげーな。」
「いつもこんな感じなの。」
「よく来るのか?」
「真宏覚えてる?あの子と一緒に買い物に来てたの。」
真宏さんは、確か文化祭の時に会ったあの人だ。
二人でここに来て、仲良く服を選んでいる光景が目に浮かぶ。
それから未那は、店の隅から隅まで見て回った。
俺はそんな未那について回る。
「あ、見て!これ、可愛いよねっ。」
未那が手に取ったのは、薄いピンク色のトレンチコート。
「可愛いんじゃね?」
「もう、そんな返事して。ちゃんと考えて!」
「いや~、すげー可愛いと思いますよ?」
「もう!!」
ファッションセンスは俺なんかよりずっと未那の方がいいはずなのに、俺なんかに聞かれてもわかんねぇよ。
別に変でもないし、可愛くないわけでもないことくらいしかわからない。
「・・・今日遅刻したことは謝るから。そんな、素っ気なくしなくても・・・」
「え?」