「雅!」


未那が俺の名前を呼んだことで、俺の心が弾んだ。



そっと振り返ると、すでにそこには未那がいて、次の瞬間には俺の唇が熱くなっていた。




柔らかくて温かいその感触を、俺はこのとき初めて知った。


「・・・未那」



唇が離れて、最初に出た言葉は未那の名前。


「・・・ん?」



「・・・未那」


「なに?」



「未那」




「だから、なっ」


俺はただ、未那の名前を呼びたかったんだ。



今度は俺から未那のその唇にキスを落とした。



「っ、雅。」


「ごめん、意地悪した。」



暗闇でもわかる、未那の照れた顔。



でも、最初にキスをしてきたのは未那だ。



俺は、我慢してたのに。


「バカだな、未那。」



「え?」


「キスなんかされたら・・・帰りたくなくなるだろ。」



「そ、そんなことっ・・・」