俺は音大に行きたい気持ちを両親に告げた。
やっぱりギターは続けたい。
でも、今のご時世で、音大の後の俺の将来が全く見えていなかった。
就職難だってときに、まさか息子が音楽の道に進むなんて思ってなかっただろう。
それでも、父さんも母さんも、最終的には許してくれた。
それはやっぱり、俺が最後に言った言葉がきっかけとなった。
『俺の人生は、俺のだから。この先、俺は自分で自分のことを決めて行きたい。今は今、やりたいことをやりたいんだ。』
そして俺は、部活引退後、猛烈な勢いで勉強に励んだ。
ギターだって触りたかった。
でも、その気持ちを抑えて、俺が決めた道をちゃんと進むために、頭が破裂しそうになるくらいまで勉強した。
そして・・・合格発表・・・。
ガチャ―――っ
「ただい」
「「どうだった!?」」
家に帰るなり、早速三人がお出迎え。
なんで一輝まで・・・。
「ただいま。」
「「お、おかえり。」」
「「「・・・・・・」」」
家の玄関。
誰一人しゃべらない、この緊張感。
俺だけは合否を知っている。