そのことだけは二人に教えた。


紗奈はやっぱり寂しそうな顔をしたけど、直登は何も言わなかった。



こいつは、バカだから。


分かってくれてるはずだ。




「雅!部活行こうぜ!」


ほら、やっぱり、バカだ。



「おう、紗奈も行くぞ~。」



「・・・うん。そうだね。」




「俺を忘れるなよ~。」


「おぅ、行くかっ。」


陵ももちろん、四人で部活に向かった。



悲しくない。


辛くない。


寂しくない。



これは、うそだ。

でも、だからってウジウジしてらんねぇ。




「部活、ちわーっ!」



「そのあいさつ、何だよ、雅。」


周りのみんなに冷やかされながら、俺たちは準備をする。




そんなとき、陵がつぶやいた言葉で、俺たちの新たなスタートが見えた。


「そろそろ新しい曲、弾きてぇよな。」


「そうだな。雅、新しいの考えてくれよ~。」



「そぉだな。ちょっと考えとく。」

「ちょっとだけかよ~。」


「直登、うぜぇ。」