未那は力強く、言葉を一つ一つ並べていった。
電話越しでもわかる。
未那は、もう何も迷ってない事が。
『海外に行くって決めたのは、もっと世界を見てみようと思って。二年間、行くことにしたの。』
「・・・二年間。」
『私の中心だった智を、思い出に残して、私はもっと世界を知ってみようって。色んなことが学べそうで、少しワクワクしてるの。』
そう言った未那は「フフッ」と笑っていた。
本当に、楽しそうに。
『・・・智とは別れた。今更言うけど。』
「・・・そっか。未那は、それで後悔しないのか?」
『してないよ!最後にお互い「ありがとう」って言ってわかれたの。「頑張ろう」も言ったよ?』
「・・・すげぇな。」
俺の怒りはいつしか消えて、すごく落ち着いていた。
未那が、こんなにも明るいからだ。
俺の中心は、きっと未那なんだ。
俺は、どうしたらいいんだ・・・。
『雅、お願いがあるの。』
「ん?なに?」
『二年間・・・私を忘れないでいてくれる?』
未那の声が、優しく俺の心に響く。
未那はやっぱり、意地悪だ・・・。