「なんだかスッキリしちゃった」 玄関に置かれた千絵のスーツケースを横目に、 貴代も千絵の言葉に頷いた。 あれから千絵の体は貴代の部屋の中で突然消滅してしまったが、 一週間後の今日、貴代の部屋を訪れた千絵。 その姿は正真正銘の人の姿。 貴代もあれから佳祐とはきっぱり別れた。 千絵を知ってから佳祐の存在は貴代の中で つまらないものになっていた。 他にも愛人のいっぱいいる男。 そのイメージが位置づけられ、ただのスケベな親父にしか見えなくなっていた。