保健室のドアを開けると
保健室の先生は出張でいなかった

桜木君の背中は運良くガラスが傷口から入りこんでなく
縫う程ではなかったが
切り傷は大きく
白いYシャツなのに
背中の部分は赤く染まってきていた

私は保健室のベッドに
桜木君を座らせ
消毒液、綿、ピンセット、包帯を取り
桜木君の後ろに座った

「桜木君…とりあえずYシャツ脱いで」
「…真結ちゃん、俺の事襲うの?」
「冗談言わないの。ほら、消毒しなきゃいけないんだから」
「はいはい」

ゆっくりとYシャツを脱いでいく

赤い血が
ゆっくりと背中を流れていく



消毒液に浸した綿を
桜木君の傷口に当てると
白かった綿が血でゆっくりと染まっていく

「っ…」
「しみる?」
「大丈夫…」



消毒したあとに傷口にガーゼを貼って包帯で巻いた





カチャカチャ
とピンセットなどを片付ける音だけが静かな保健室に響いた



「真結ちゃん…」
「桜木君、私がね男の人に関わりたくないのはね…」
「うん」

桜木君の横に座り
悲しい過去をついに話した