心臓がドクンと脈打ち、呼吸が止まりそうになった。


6月だと言うのに、全身が冷えてゆく感覚に襲われる。


「も……もひちゃん………?」


恐る恐る桃妃ちゃんの顔を覗き込むと、キラリと光るものが頬を伝っていた。


桃妃ちゃんが、泣いてる。


「ご、ごめん桃妃ちゃん!オレ幾ら何でも強引過ぎた!!謝るから泣かないで!!」


急いで彼女の体を離して、前に回って目線を合わせる。


桃妃ちゃんは流れる涙を隠す事もせず、ただただ泣いていた。


「ごめん明智君……私今………自分で自分が分からないの……」


必死な声。