「ちょ、美織?!」


「あー、やだなぁ。
今から仕事するの。
あ!邪魔者はこれで退散するので、藤堂さんはゆっくりなさってください。
それじゃあ!!」


「待ちなさい!美織っ!!」



バァン!!




私は早口で捲し立てるように言葉を紡ぐと。勢いよく扉を開けて逃げるように、その場を後にした。







「はぁ、はぁ、はぁ、ハァッ!」


アパートの階段をかけ降りて、私は逃げるように走り出す。



なんで


なんで


なんで?!


どうして、そこまでキョウちゃんは私を嫌うの??




わからない

わからないよ、キョウちゃん。




嫌いなら……仕事だって嫌がればよかったのに。コイツとは絶対にイヤだってパパに言ってくれればよかったのに!!!




中途半端に優しくしないで。


私を許せないなら、ずっと同じ態度でいてよ!



期待するじゃない!



もう大丈夫なのかなって。



あの頃の二人に戻れるのかなって、バカな私は期待をしちゃうじゃない!!!






「うっ……くっ……ふぅっ……!!」





目からはどんどん涙が溢れる。
涙で前がかすんでよく見えない。
胸は苦しくて苦しくて、押し潰されてしまいそうだ。